一部記事抜粋

――畳は製品になってしまうと、どこにどんな材料が使われているのかわかりにくいものです。「有機」とか「天然」と聞くと、なんとなく安全な畳のように思えるのですが。

植田 「天然」と謳っていたら疑わしいですね。イグサも藁も人間が畑で栽培する農産物なので、天然はまずあり得ません。「有機」については、食品におけるJAS法のように明確な規定がイグサにはないのです。私が知っている限りでは、100%有機栽培をしているイグサ農家はほとんどありません。「減農薬」の定義もあいまいです。畳の材料は、農薬の散布を1回減らしただけでも減農薬と謳えるのです。「国産」の表示も鵜呑みにしないように。中国製イグサを国内で織った製品も「国産」として売られているケースがあるからです。日本に流通している畳表の70〜80%は中国製で、農薬の使用を極端に減らした製品は量産型生産方法によって減農薬・有機栽培製品はまずないでしょう。だからといって、国産の畳表のすべてが農薬や薬剤を使用せず安全ということではありません。

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